ちゅら水県民集会 4月10日(日)宜野湾市民会館に442名

ジョンミッチェルさんのパワーポイントでの講演
参加者_442名+アルファ(スタッフ&家族連れ) カンパは23万円超
PFAS汚染の6地区(嘉手納、金武、うるま、北谷、宜野湾、那覇)から現場報告

映画「ダーク・ウォーターズ」のモデル:Rob Bilott弁護士ビデオメッセージ 字幕用の翻訳(2022年4月10日公開)を紹介します。

ロブ・ビロット弁護士の沖縄集会へのビデオメッセージ

こんにちは。私は、ロブ・ビロットです。オハイオ州シンシナチ市のTaft Stettinius & Hollister LLP(タフト・ステッティニウス&ホリスター法律事務所)の弁護士です。過去24年間、化学物質PFASがもたらす環境・健康への脅威を知らせることに専念してきました。

これらPFASは、全くの人工物で、1940年代以前には存在しませんでした。残念なことに、PFASは今、世界中のあらゆるところを汚染しています。私がこの物質の存在を見付けたのは、1990年代末から2000年代初めでした。

「ダーク・ウォーターズ」が日本で、とりわけ沖縄で上映されることを嬉しく思います。この映画から、PFASの害を暴き、世界に知らしめるために、どれほどの努力が必要であったかを見ることができます。PFASがどのように製造され、拡散していったか、そして、PFASが発癌性の猛毒であること、世界に拡散し、永遠に環境に存在し、それが私達の身体に入り込み、健康被害を起こすこと、その情報が、秘匿されてきたことが分ります。この情報は、70年以上に亘りPFAS製造会社は知っていました。何十年も、PFASに関する情報は隠されてきたのです。

「ダーク・ウォーターズ」は、私の著作を基にし、オハイオ川沿いの一つのコミュニティで、PFAS汚染による被害を世界に知らせるために、どれほどの困難があったかを示しています。今、ようやく、それを広く知らせることができます。私達は、PFASが環境の中、そして身体の中でどのように振る舞うかを知りました。PFASが非常に危険な物質であり、多くの重大な健康被害を引き起こすことが分りました。特に、テフロンに使われるPFOAは、撥水加工を通じて、非常に多くの商品に使われています。カーペット、食品包装、消火剤、化粧品など、数えきれません。

PFOAは、2種類の癌を含む6つの深刻な病気の原因になります。映画が作られた後にすら、新たな研究が公表され、さらに健康被害への懸念が強まりました。PFASが私達の免疫システムに打撃を与え、ワクチンの有効性を減じることが分ってきました。現在のパンデミック状況で、ワクチンの有効性は世界中の懸念ですから、これは実に深刻な問題です。

PFASが、私達の環境で、水の中、土の中、日用品の中、あらゆるところに存在し、私達の血液の中にも入り込み、それが胎児をも汚染する、ということが分っています。研究から、人類全体の90%~99%の血液にPFASが含まれると推察されます。こうしたデータは、私達が、どれほどPFAS汚染に晒されてきたかを示します。血液サンプルから、PFASの存在だけでなく、その濃度により、過去にどれだけ晒されてきたかも分ります。PFASが何十年も環境に存在してきた事実が分ったことで、少なくとも、水道水浄化システムの改善や、いくつかのPFAS物質の製造中止、といった、汚染被害を縮減する策を取れるようになってきました。血液サンプルから、現在の状況だけでなく、PFASが蓄積してきた過去の過程も分ります。何年間にわたりPFASに晒されてきたかが分るということです。

この情報を広く知らせることができたために、世界中で、現在、PFASが深刻な健康被害をもたらす脅威であると理解されています。環境への脅威であり、除去されねばならないということ、環境からも私達の身体からも除去されねばならないということが理解されるようになりました。人々がこの問題に関心を持つことの影響は、非常に大きく、「ダーク・ウォーターズ」が世界公開されることで、これは、米国ウェスト・ヴァージニア州の1人の農民の物語でも、一つのコミュニティの物語でも、さらには一つの国の物語でもなく、人類全体の物語であることを知らせることができます。世界中の人間全てが、この物質を血液の中に持ち、あらゆる野生動物の体内にあるのです。全ての人間に影響する物語なのです。

この映画から見出して頂きたい最も大事なことは、1人の人間、1つのコミュニティが、団結することの信じがたい力です。これは、おかしい、という声を上げること、この物質に汚染されたくない、水道水にこの物質を入れるな、胎児に影響を与えるのは許さない、その訴えが、ものすごい影響力を持つようになった、その過程です。

1人の農民が、世界有数の化学会社を相手に闘い、米国の環境規制システムと闘い、立ちはだかる科学や司法のシステムと闘い、現実に成果を出しました。多くの人々が、それに加わり、「これはおかしい。汚染を止めろ」という声を上げていきます。それが、大きな変化を生み出しました。新たな規制法案が提出され、米国だけでなく、世界で、PFASの製造中止、汚染の縮減が目指されています。PFASの許容基準が遂に決められようとしており、特に水道水中の厳しい基準がさだめられようとしています。水道水は、私達の毎日の生活に欠かせないものです。飲料水の汚染は深刻です。この数年、PFAS汚染の深刻さが知られるに従い、水道水中の許容基準は、下げられ続けています。

米国では、2016年に水道水の許容基準が70pptに定められました。日本では50ppt以下と聞いています。最近では、多くの科学者、環境規制専門家が、さらに低い許容基準を提唱しています。米国ですら、一桁の基準が提唱されています。これは、存在が検出されただけで、既に高すぎる、という認識を意味します。PFASの「永遠」とされる特性から、ひとたび体内に入れば、どれほど微量であっても体内に存在し続け、蓄積されていきます。科学研究が進むにつれ、PFASが健康被害を起こす濃度が、継続して低くなっています。より多くの科学者が、より多くの研究を進めることで、水道水中の許容基準は、科学者の間で、一桁まで下がったというのが、ほぼ合意になっています。

この問題への関心が高まり始めた日本で、PFASの存在、とりわけ泡消火剤の中での存在、米軍基地内での存在が、知られ始めています。許容基準がどうなのかに関心が高まっています。より多くの情報が知られるようになり、より多くの人々が話し合うようになり、より多くの市民やコミュニティが「PFASの脅威から私達を守りたい」という声を上げていくことで、日本でも、許容基準を引き下げていくことを望みます

科学界のコンセンサスは、PFASに関して、水道水について、安全な水準は無い、ということになりつつあります。今日は、皆さんにお話しする機会を与えて頂き、ありがとうございました。どうか、皆さん、この問題に注目し続け、立ち上がり、声を上げ、PFAS汚染をなくしていく努力をしていって下さい。ありがとうございました。

(字幕用の翻訳は沖縄国際大学教授の佐藤学さん)

▽シェアする▽