PFAS講演報告・資料集を発行(1冊500円)、好評販売中!

A4、50ページ 一冊500円:初版500冊

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ちゃーすがPFAS 報告集刊行にあたって

有機フッ素化合物(PFAS)は、フライパンや防水スプレー、半導体、泡消火剤など、私たちの身の回りで多岐にわたる用途で使われている。水も油もはじく便利さは替えがきかないため、半世紀以上にわたって使われてきた。

そのPFASの健康影響が沖縄で大きく注目されるようになったのは、県民45万人が飲んでいる北谷浄水場の水がPFASで汚染されていると報道された7年前の2016年1月のことだった。それ以来沖縄県民は、安心して飲める水を求めて情報収集を進め、学習会を開催し、2019年、水道水の汚染を危惧する多くの団体、個人が集まり「有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会」(以下「連絡会」と略称)を発足させた。

コロナの蔓延が市民の取り組みを遅らせたが、連絡会は、2022年4月10日に開催した県民集会において県民の血液を自ら採取し血漿中のPFAS濃度を明らかにする計画を打ち出した。県民の健康の維持・促進に責任を有する沖縄県に実施を求めても、県が動こうとしなかったからだ。県民集会が開催された4月10日は、普天間飛行場から大量の泡消火剤が流出したその日からちょうど2年目の記念すべき日であった。

連絡会による県民387名の血液検査は、北谷浄水場から給水を受けている人も、そうでない人も、沖縄で暮らしている人はドイツや米国の基準に照らしたとき放置できないレベルの汚染を受けていることを明らかにした。そして連絡会のこの取り組みは、腰の重い県などの行政や米軍をも動かしはじめ、東京多摩地域の市民による血液調査など、全国他地域での市民の取り組みの背中を押していった。

PFAS汚染の主要原因は、狭い県土に圧倒的に集中している米軍基地と考えてほぼ間違いない。しかし沖縄県は、北谷浄水場のPFAS汚染の原因と思われる米軍嘉手納基地に7年後の今日に至るまで立入調査ができないでいる。障害は日米地位協定である。環境問題解決の基本は汚染源を明らかにし、汚染源において汚染の原因を取り除くことであるのに、その基本が実践できないのだ。県民の健康を実現するには、解決すべき課題がなお多い。

2023年5月14日に連絡会が開催した講演&シンポジウム“ちゃーすがPFAS!”では、(1)PFASを巡る米国の動向の把握、(2)国連への働きかけ、(3)日米地位協定改定に向けた分析、そして(4)東京多摩地域市民の取り組みの4テーマについて報告がなされた。いずれもPFAS汚染問題解決に向けた貴重な作業である。

本報告書は、この4テーマについての報告を取りまとめたもので、PFAS汚染問題解決に向けた更なる前進への一ステップとなることを期待したい。         

有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会 共同代表 桜井国俊

2023年6月1日

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